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活動報告
2018.10.12
学生さんのIPW実習を受け入れました(彩の国連携力育成プロジェクト)
今年度も医療生協さいたまSGFAMの教育施設である「秩父生協病院」「埼玉西協同病院」「埼玉協同病院」と連携介護施設である「老人保健施設みぬま」では、埼玉県内の4つの大学(埼玉県立大学・埼玉医科大学・城西大学・日本工業大学)の授業として行われている『IPW実習-専門職連携協働実習-」の学生実習を受け入れました。 このプロジェクトの詳細はこちらのホームページをご覧下さい。http://www.saipe.jp/
~同じ場所で共に学び、お互いから学び合いながら、お互いを学ぶこと~
今回の実習は複数の専門職を目指す学生さんの実習となるため、各施設とも多くの専門職が実習担当(施設ファシリテーター)を担い、学生さんとの「協働の学び」を実践しました。
学生さんは5~6名の多職種チームで担当患者さんのケアプランを考えます。カルテから情報収集をしたり、患者さん・利用者さん・ご家族のお話を伺ったり、現場で患者さんを支えるスタッフにインタビューしたり、患者さんの自宅を訪問したり、生活する地域を見学したりしながら、学生さんならではのケアを考えだします。
時に、「医療者・介護者中心」になりやすいケアプランをファシリテーターのアドバイスで軌道修正しながら、IPWの最も核となる視点「患者さん、利用者さん、家族を中心にしたケア」を実践するプランをチームメンバーと、とことん検討をします。その姿は、私たちの現場でもよく見るスタッフ間の連携と同じにも見え、学生さんの考え方や視点にスタッフが唸るシーンも多く見られました。
リフレクションシートを活用
実習期間中は毎日振り返りを行い、学生さんが自身のリフレクションを行います。
「どうして患者さんはあんな事を言ったのだろう・・・」「本当は家に帰りたいはず」「悪くなるのが分かっているのだから、積極的に介入すればよいのに・・・」
学生さんはこれまで学んできた自職種の知識と照らし合わせながら、その日の言動について深く深く考えます。
また、チームの視点で振り返ることも同時に行います。
「専門用語を使わないようにして、誰もがわかる言葉で説明をした」「どうしてあの学生さんは、あんなに拘るのかがわからない」「チームの雰囲気はとても良い(悪い)」「明日もこのチームで頑張ろう」などなど。
チームの成長を意識したリフレクションは、ファシリテーターを担当するスタッフにも意味深い内容となっていました。
実習報告会もしました!!
実習4日目は最終日のため実習報告会を各施設で行います。
学生さんは午後から、地域ごとのIPW実習報告会があるため、施設での報告はその予演にもなります。
施設ファシリテーターや担当した部署スタッフも参加し、学生さんの4日間の学習の成果を共有しました。
学生さんからは「一番大切にしたい、”患者さん・利用者さんの想い”をどれだけ反映させたケアプランになったかは不安もあるが、これまでの実習の中で一番患者さんのことを考えた実習だった。今までの実習では自分の専門職としての役割や技術、考え方をどう発揮すべきかばかり考えていたが、IPW実習ではそれだけではなく、チームメンバーの考え方や役割もどう活かすかを考え、それは患者さんにとってどうなのかを、常に考え続けるような実習でした」とお話してくれました。
次は地域を巻き込んだ連携実践を
現在の医療介護保健福祉分野は複数の疾患、複雑な患者利用者背景の中でケアに関わることが非常に増えてきています。これらは、住民のおかれる社会的問題も多様に関係してきていることもあり、もはや、医療・介護専門職だけでも解決することが困難になってきている事も少なくはありません。
今回の実習では医療介護の専門職と学生が一緒に学ぶことで、お互いの職種性や役割理解を進めながら、患者さんのケアプランを検討することを実践してきました。互いの意見が違ったり、合わなかったりすることも多数経験したことと思います。こうした、葛藤を経てチームとして動き始めることができることが「IPWを実践する」ということです。
医療生協さいたまは「地域住民の”良い医療を受けたい、介護を受けたい”という想いや運動から作られた施設」です。
医療者介護者だけでなく、地域住民をを巻き込んだ連携がこれからの地域ケアには益々必要になってきます。
学生時代のIPW実習が、将来、実践者となった時に大いに活用できることを願っています。